20050214日記
アレキサンダー感想
(蜜)


アレキサンダーを観て来ました。
当初全く観る予定では無かったのですが、
今迄語られて来たアレキサンダー大王とは全く異なった視点で描かれている、
それによってアメリカ公開時には強いバッシングを受けた作品、

ということに興味を惹かれ、観に行って来ました。
国や時代を問わず歴史が大好きなのですが、
ここ最近の歴史英雄映画はあまり好きにはなれなくて、
アレキサンダーもきっと似たようなものだろうとなどと思っていて、
更にオリバーストーン氏の作品は自分の中でも好き嫌いがはっきり分かれるので、
偶然テレビで映画予告を観て上2つの鍵を知らなければ特別興味を持つこともなく、
観ないままだったと思います。
今思えば何て恐ろしい!勿体無い!
アンテナを広く、視野を広く、
この世の中には見たり聞いたりして無駄になるものは何ひとつ無い、
ということをよくテン子さんと話すのですが、
『同じようなものだろう』と思ったままあの予告を観ることも無ければ、
こんなに素晴らしい作品を自分の人生からみすみす見逃したのかと思うと、
何て馬鹿だ自分!偶然テレビを観た自分ありがとう!

とは云え興味本位、暇潰し程度に覗いた作品には変わりなかったのですが、
観ている途中から既に、
好きな映画10位以内、
好きな歴史映画5位以内にランクイン確実だ!と、
そんな出会いになっていました。
以下はネタバレありですので、
お気をつけ下さい。
今迄描かれてきたアレキサンダー大王とは全く異なる視点というのは、
彼がゲイであるということ。
そして完全無欠の英雄では無く、
心の弱さを持ちながら人間らしく葛藤し苦しんで生きて死んでいくということ。
其処には有名過ぎる彼の名前から誰もが想像するヒーローは存在していなくて、
自分がそうある為にはそうすればいいか、
孤独にもがき模索し続ける一人の青年の姿が在るように思いました。
救いを求めた相手は幼い頃からの親友でもあり共に戦う武将。
この二人の結び付きは恋人というカタチのものでは無く、
精神的な愛、お互いを高めあう愛、と呼ぶのがきっと相応しいのだと思います。
何だかわからないけれど途中からずっと涙が溢れて止まりませんでした。
ああ何だろうこの感じ、
でも何だかとても共感出きる、
胸が痛くて寂しい、
苦しい、
そして何処か羨ましく思う自分も居る、
アレキサンダーの姿は何処か現代とリンクしていて、
誰もが何かをあの英雄の姿に重ねるのではないかとさえ思いました、
孤独、苦しみ、葛藤。
飾られない生身の人間の痕跡。
それから、観終わった後に込上げる力強さ。
ああ!何て素晴らしい作品なのー!
両手両足踏ん張って拳を突き上げ叫びたい、叫びたーいー。

ああでも本当にいい映画。
アメリカでバッシングされたのは彼をゲイとして描くとは何事か!
ということだったのだそうですけど、
ゲイだとかその要素は取るに足らないことかもしれない、
それが彼に孤独を生み出したのも事実で、
彼の人生の中のひとつに過ぎないパーツにも思います。
賛否両論色んな解釈が有るのだろうけど、
あの作品の大きなメッセージは其処では無い。
きっとそれは観れば全員がわかるのではないかな、
と思うくらい、それくらい直球で強いメッセージがあの映画には存在してるような気がします。


そいでもってここまで色々偉そうに書いてしまいましたが、
アレキサンダーの格好良さに眩暈がしたということも書いておかなきゃ!
伝説の英雄像もきちんと描かれていて、
その裏には生々しい葛藤が存在しているのですが、
だからこそなのか何というか惚れてしまいます。
そいでもってヘファイスティオンとの繋がりが半端無く切ない。
群集の中でアレキサンダーを見守ってる彼がもの凄く切ない。
あの二人の関係性というか位置というか、
そういう全てのものをひっくるめて、
わたしの中の色んなメーターがとんでもないことになりました。
親友であり英雄でもある愛する人。
英雄で在りながら孤独に揺れ心の平穏を失いゆく彼を見守り、そっと愛し続け、
馬に乗り先陣を切って戦場に向かう背中をどんな気持ちで見ていたのだろうね。
その彼もまた、
アレキサンダーの片腕となって自分の戦地へ向かうんだけど。
馴れ合いも甘さもない、
精神的な繋がりと信頼と、其処に生まれる絆と孤独。
お互い愛し合っていて、
でもヘファイスティオンの腕はたった少しだけアレキサンダーに届かない。
ように思ってしまったので、
頭の中が大洪水です。
創作意欲が沸点です。
弱いんだ!こういう関係性に!もの凄く!わたしは!

ファントムのサントラ買って手にはDグレ本も持っちゃってて、
ああ!カカサス!カカサス!
なのにアレキサンダーでも星が飛んで、
頭の中の処理能力が追いついてない気味です。
アレキサンダーで得た創作意欲を何で役立てことになるかはわかりませんが、
そんなことを無しにしても、
素晴らしい作品と巡り会えたので昨日はとんでもなく幸せでどうしようもない1日でした。

アレキサンダーの後姿が何度も出てくるのですが、
それがどれも印象的でした。

今思い出しても泣きそうだ!

holding you, and swinging
あまりに強く求め過ぎたの?
彷徨う 愛されないJane Doe
手繰り寄せた想いを抱きしめた
優しくなる 君がいる場所で

何処へゆくの・・・
誇り高く消えたい


garnetさんもこれまたもれなくリンク中。