マリモンマロン








「おー。ここにも栗」

サンジはイガの付いた栗と、目の前で眠るゾロをじっと見比べていた。

「・・・栗。まだ緑で熟れてない栗だな」

サンジはタバコをふかしながら、かごいっぱいの栗をゾロの頭に一つづつ乗せてみる。

「三つ目。クソ起きねえな・・・」

サンジはそのままどんどんと栗をゾロの頭に乗せていく。

「なあなあ! サンジ! チョッパーも乗るかな?」

不意に現れたルフィが、目をきらきらさせて、ゾロの頭にこんもりと盛られている栗を見つめた。

「・・・乗るとは思うが、クソ怒るんじゃねえか?」

「チョッパーなら大丈夫だ!」

ルフィはにかりと笑うと、チョッパーを小脇に抱えて戻ってくる。

「な、なにすんだルフィ!! おれゾロに怒られるのいやだぞ!」

「だいじょうぶだー。チョッパーならおこらねえよ」

そういってルフィは、栗を除けて暴れるチョッパーをゾロの頭の上に乗せてみる。

「やだぞー!!」

「・・・んあ。・・なんだチョッパーかよ。そんなとこで落ちんなよ・・・」

チョッパーが頭に乗ったので、ゾロは少し目を開けたが、何事もなかったようにそのまま寝入ってしまう。

「すんげー!! やっぱりチョッパーにはおこんねんだな!」

「やっぱり、ファンシー好きかこのクソ栗マリモ」

「エ、エ、エ。ゾロの頭の上結構面白いぞ」

チョッパーはゾロの頭に乗ったまま楽しそうに周りを見渡す。

「・・・ずんげー! オレものれっかな?」

「いや、無理だろ・・・」

「面白いぞー! ルフィも乗れ!」

「よっし!」

サンジがチョッパーを抱えて下ろすと、すかさずルフィがゾロの頭の上に乗る。正確には肩車だが。

「・・・今度はルフィか・・・。暴れんなよ」

ゾロは少しため息をついたが、そのまま再び寝入ってしまう。

『・・・サンジも!!』

ルフィーとチョッパーが目を輝かせてサンジを見上げる。

「いや! オレはクソ無理だろ! キレなかったらおもしろいけど!!」

サンジは首を振るけれど、いたずらそうにゾロを見る。

『だいじょうぶだってー!』

またもルフィとチョッパーは声をそろえてにやりと笑う。

「・・・んじゃ、ちょっと失礼して・・・」

サンジもよいしょとゾロの肩の上に座ってみる。

「お、なかなかすわり心地いいなあ」

そういって三人で笑っていると、ゾロがゆっくりと目を開けた。

「・・・こんどはお前かよ。クソコック・・・。寝てんのじゃますんじゃねえよ・・・」

そして、また寝る。

「すっげー!! おこんねえ!」

「そんなに眠いのかよー!」

「なあ、じゃウソップも大丈夫なんじゃないか!」

チョッパーはそういうと、先ほどから事を隠れつつ見ていたウソップを振り返る。

「おー! サンジが乗っても怒らねえから、オレ様は全く問題ないだろ!」

『いけー!』

飛び出してきたウソップが勢いよくゾロの肩に乗ろうとしたら・・・。

「なにやってんだゴルァ! ウソップ?」

ゾロは目をカット見開くと、間髪いれずにウソップの首を掴んだ。

「オレはいい気持ちで寝てたんだ・・・解るなウソップ?」

「ひっ!! オレはあいつらに呼ばれてっていねええ!!」

船内にウソップの絶叫がこだまする。ゾロが本格的に起きたのを察知した三人は、既に姿を消していた・・・。



おわり